22歳で跡継ぎのない会社を購入。未経験から成功を掴んだ伊部社長の物語
若くして起業
私は22歳のとき、高校を卒業後に4年間働いていた会社を買い取りました。当時、自分は「大学に行っても意味がないかも」と思っていたのです。進学校に通っていたものの、二流大学に進学するなら、親が経営していた印刷業で生活していけるのではないかと考えていました。親に給与について尋ねたところ、2人で生活するには十分な収入があるとのこと。それなら進学せず、印刷業界で働くのも悪くないと考え、高校卒業後、親の紹介で特殊印刷工場に就職しました。
当時、その工場には私を含めて4人しかおらず、徐々に景気が悪化していきました。そして、私が勤めて4年が経った頃、社長が亡くなり、会社には私とパートの2人だけが残りました。
会社を引き継ぐ決断
社長のご子息は東京の一流企業に勤務しており、会社を継ぐ意思はありませんでした。一方で、私は次に何をするか見つけられず、技術や人脈、信用もない状態でした。それでも、22歳という若さで、跡継ぎのないこの会社を引き継ぐ決意をしました。
会社を買うための金額は決して安くありませんでした。銀行からの融資を受けることは難しかったため、父親に実家を担保に入れてもらうようお願いしました。本気で挑戦したいという思いから、「生命保険をかけるから」と父に伝えました。最悪、バイトを掛け持ちすれば返済できる金額だったので、命を懸ける覚悟でこの挑戦に臨みました。
経営の困難と工夫
私が引き継いだ特殊印刷業は、スクリーン印刷、パッド印刷、電解マーキング、インクジェット、レーザーなど、様々な技術を駆使して印刷を行うものでした。しかし、当時は作業の多くが手作業で行われており、地域の他社と比べてかなり遅れていました。先代の亡き後、継続して発注してくれる業者もいた一方で、何も知らない若造に任せられないと離れていく取引先も少なくありませんでした。
そこで、機械設備を導入し、ノウハウを蓄え、5年前には会社を株式会社に変更しました。コロナ禍の影響もありましたが、昨年比を上回る業績を達成し、右肩上がりの成長を続けています。現在、私たちの会社は約60~70社との取引があり、地元の燕三条の地の利を活かして、横のつながりを大切にしながら成長を続けています。
スタッフの力
会社を支えるスタッフも増えてきました。ここ5、6年で一人ずつ増やし、現在は6名のスタッフが在籍しています。スタッフの多くは女性で、私は女性の方が細かい点に気が付くため、弊社のような作業に向いていると感じています。
ドローン事業への挑戦
さらに、私は2020年に仲間とともにドローン事業を立ち上げました。約4年前、岡山の青年部がドローンの可能性について紹介してくれたことがきっかけです。その話を聞いた瞬間、ドローンの未来にワクワクが止まりませんでした。ドローンを活用して地域活性化ができるのではないかと感じ、思い切って挑戦しました。
現在、ドローンの資格取得スクールを燕市で運営しており、順調に生徒が増えています。ドローンによる農薬散布など、今後も様々な事業での活用が期待されています。特に営業や事務管理ができる女性スタッフを募集しています。また、子どもたちにもドローンを体験してもらいたいと考えており、無料体験会も開催しています。ゲーム感覚で楽しみながら新しい技術に触れてもらえたらと思っています。
終わりに
伊部社長は現在40歳。若くして会社を引き継ぎ、燕三条の地域経済に貢献し続けています。近年、町工場の高齢化や跡継ぎ不足による閉鎖が話題となっていますが、伊部社長のように若くして事業を引き継ぎ、成功を収める経営者が増えることは、地域にとっても大きな希望です。また、ドローン事業の未来も明るく、2025年には大阪万博でドローンタクシーが実装される予定です。
起業を目指す若者や、技術系の高校生にとって、燕三条地域は大きなチャンスが転がる場所かもしれません。伊部社長のストーリーは、これからの地方移住や起業を目指す人々にとって、大きな刺激となるでしょう。
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CURATOR / nobu